油断は大得?!
大人気ないな‥
「ただいま」
部屋に帰り着いて、着替えを先に済ませた。
誰も居なくても挨拶はする。
一人暮らしだからこそ、してる気がする。
部屋着に着替えたらエプロンを着けた。少し伸びた髪を強引に結わえた。
ご飯を作る時は纏めないと気が済まない質だからだ。
…よし、やるか。袖を捲り手を洗った。
さてと、卵ちゃん卵ちゃんは…と、そ〜っとパックを取り出してみた。
割れてるのは分かっていた。
…はぁ、良かったぁ、全滅は免れていた。
二列、端から二個と一個かな?あと少しヒビかな…?
う〜ん、……茶碗蒸しにしてしまおう。
そうと決まれば。
あかむつを取り出し煮魚に。魚は私も直己も大好き。二人とも、お肉より魚が好きかも知れない。
小松菜を油揚げと炒める。小鉢に盛る。
蒲鉾、椎茸、鶏肉、人参‥銀杏っと。
出汁と卵を合わせて…。
よし、蒸しちゃえ。
ピンポ〜ン。
「は~い」
「…ただいま」
「ゔ、お帰り、お疲れ様!」
ハグだ。ことの外、きつめだった。
「…ん、おー?なんか俺の好きな匂いがしてるな…」
ネクタイを緩めている。
「うん。あかむつ、煮付けにしてるから」
「おっ、のどぐろか?」
「そう、のどぐろ」
「ほいっ」
廊下を歩きながら鞄、解いたネクタイを受け取った。
「すぐできるけど、もう少し滲みた方が美味しいから、先にお風呂入って来て?」
「了解と、…その前に」
「キャッ」
「…はぁ、帰って来た気分になるんだ。充電、充電」
…チュッ。
直己はいつもうちに来た時、廊下を歩きながら、ネクタイ、鞄を渡すと、ギューッとして頬、いやほぼ場所的には耳だな、に口づける。そしてハムハム?する。
「…よ~し。じゃ、風呂入って来るわ」
耳に触れてみる。ちょっと息も掛かるし、……熱くなっちゃうし…。もう〜、これは毎回反則だ。
でも…ドキドキする。……嬉しい。