油断は大得?!
‥ちょっと待った
「よう」
…あ、ようって…、なんで?……有り得ないんですけど。
どうして、ここに?
「ちょっと。そこ、どいて頂けませんか?
ここ私の部屋なんですけど」
あろう事か、一之瀬が私の部屋のドアの前に立っていた。
「待って。入れてくれるなら、どいてあげてもいいけど?」
「はあ?そんな駆け引き、成立しませんけど。
さっきから言ってるように、ここ、私の部屋なんで」
ガシッと腕を掴まれた。
引き寄せられて耳元で囁かれた。
「…何もしない、約束する。話がしたい…。入れてくれ。頼む」
…止めて…こんなのドキドキするから。
「あ、あ、あの、し、知ってます?
危険な人程、何もしないって言うって…、知ってます?」
「…知ってる。犯罪者の常套句だ」
「ご存知じゃないですか。それより、お聞きしたい事が。何故、ここがお分かりで?まさかと思いますが…」
「…すまない、そのまさかだ…」
「ちょっと…。職業上知り得た事を個人的に利用するのは犯罪…」
「理解している」
「なら、どうして?」
「…会いたかったからだ」
ドキッ。何言ってるんでしょうか。
「こう言っては何ですが、住所以外に携帯番号とか解ってるでしょ?だったら電話でも…」
「出ないだろ?」
「…まぁ、出ませんね」
どこの誰だか分からない番号なんて。
「だったら、これが一番いい選択だったと思いませんか?」
「とにかく、部屋に上げる訳にはまいりませんので…、少しお待ちください。
…冷蔵庫にしまって来ます。…近くのカフェで良ければ…」
手には買い物してきたものがある。
「勿論」