油断は大得?!
しばらく抱きしめ合ったまま動かなかった。

「……あのね、直己…」

話しておかなくちゃ。直己の胸に顔をつけていたけど、私は顔を上げた。

「ああ、解ってる、一之瀬さんだろ?」

「えっ、直己に連絡あったの?」

「連絡?無い…よ?何か、あるのか?」

直己の横に座り直した。

「…今日、訪ねて来たの。仕事から帰って来たら部屋の前に立ってて…話がしたいから入れてくれって」

「…入れる訳ないよな?」

「うん、取り敢えず、あそこ、珈琲チェーン店に行った」

「はぁ、そうか、正解だな」

「それで、直己の事、信じて、お互い信じ合っていれば心配無いって…」

「待て待て。何か話の中身がすっ飛ばされてないか?
一之瀬さんとはどんな話になったんだ?
ニュアンスで解らなくもないが、最初からちゃんと話してくれ」

「…ごめん。……はぁ。
私と直己は婚約も結婚もしてる訳じゃないから、問題無いって。…直己にも宣戦布告する、みたいな」

「美波に妙に接近して来るとは思ったけど…。
やっぱり、あれか。
ぶつかったきっかけで惹かれ始めたみたいな事なのか?」

「…うん、そんな感じで言われた」

「…それで?」

「え、それでって…」

「それで、美波はどうなんだ?」

大事なことだ。
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