油断は大得?!
「ドラマみたいな出会いだって言ってだだろ…美波も惹かれ始めてるのか?」
優しく頭を撫でながら問うてきた。首を横に振った。
「ううん。あるわけない。直己に言った通り。それだけ。シチュエーションが、ドラマみたいな事があったってだけ。
滅多に無い事に遭遇したから。ただそれだけ。
そりゃあ、直己にも嬉々として話したかも知れないけど、それは、それだけの事。惹かれるとかには繋がらない、そういうものだから」
「そうか、なら、何も心配なんて始めから無いさ。俺も何も不安になったりしない。…美波を信じているから」
「うん、何があっても無視するし、心配しないで。…はぁ、この事、直己と話したくて、だけど忙しいって解ってたし…良かった…今夜直己が来てくれて…有難う」
横抱きされてじっと見つめられた。何か確認のよう…。
触れるだけの優しい口づけをされ、ギューッと抱きしめられた。
「美波…いいんだよな?俺で。…情けないけど不安なんだ」
「直己…」
「ちょっとした事でも、すぐ嫉妬してるし…、俺、バカみたいにヤキモチ妬いてる…」
「直己。直己がいいの。直己じゃなきゃ嫌。何もかも、直己じゃなきゃ嫌…」
いきなり鼻がぶつかりそうな勢いで口づけられた。…深く…甘くて…、そして長い。
お酒の香りがした。