油断は大得?!
テーブルに、といっても、私の部屋にはダイニングテーブルは無い。
だから、リビングのローテーブルに、でき上がった料理を並べる。
…あと、お箸、っと。おっと、お味噌汁も。
「ふう、サッパリした〜」
これも何気に反則だと思うんだけど…。
直己は仕事ではワックスで髪を整えている。
その髪の毛が、シャンプーして無造作なボサボサヘアになる。
これがまた、ギャップというか…、少し幼くなった感じで、また良いのだ。
毎回ドキッとしてしまう。
私ってば…、どんだけ直己が好きなんだか…。
ビールとお水、両方を置き、二人声を揃えて言う。
「「いただきま〜す」」
真っ先に好きな煮付けに箸が伸びた。
「…うん、…旨い!いい味」
「そう?良かったぁ、染みたんだね」
ご飯を装ったお茶碗を渡しながら返事をした。
「魚自体も…脂がのってて旨いけど、煮汁の加減が…いいな、…旨いよ」
受け取ってご飯を一口入れると、モゴモゴさせながら直己が言う。
「本当?良かった」
「ああ、本当。旨い」
こういうとこだよ直己君。いい!
いつまでも、ちゃんと、こういう反応をしてくれる。とても嬉しい事だと思う。……はぁ、幸せ。
私達は幼なじみから自然にこういう間柄に…。
だから、トータル、長い“つき合い”になる。
「なぁ、美波ぃ。慌てただろ?」
「ぇえ?何が?」
茶碗蒸しを掬って食べていた直己が、スプーンの上にペロッと舌を出した。
「これ〜」
よく見ると凄く小さい殻が舌に乗っていた。
ゔ〜〜、越して入れたつもりだったが、網目の方が粗かったようだ。
「わー、ごめん。大丈夫だった?」
「大丈夫、大丈夫。こんな凄く小さいのなんか、飲み込んでも問題無いよ。たまたま舌に当たったから解ったようなもんだな」
「ごめんね。越したけど残ったんだね。
実はね、割れちゃったんだよね」