油断は大得?!
部屋を訪れた俺に、美波はいきなり抱き着いて来た。
…どうしたんだ。こんな美波は見たことがなかった。
しばらくここにも来れていなかったし、まともな連絡も出来て無かった…。寂しくさせていたのか。
忙しさを理由にしてはいけないが、この慣れは気をつけないと、不安にも寂しくもさせるんだよな…。
…こっちも寂しいんだけどな。
俺は突然の訪問を充電切れだと言った。実際、嘘では無い。
会いたかったし、何より、こうして美波に触れたかった。
美波も会えて良かったと言う。
それは一之瀬との事があったから。
抱き着いて来たのは、やはり不安にかられてだった。
お互いが信じていれば心配無い。…大丈夫だ。
自分に言い聞かせるように言っては見たものの、実体の無いものとはなんと、か弱いことか…。
言葉にして確かめて、抱きしめあって確信して、…繰り返すしか無いのか。
今まで、この思いをどうしたらいいかなんて、考えていただろうか?
…考えてなど無いだろう。
美波が居て、俺が居て、互いに揺るぎないモノだと思っていたから。
一体、どう攻めてくるつもりだ、一之瀬…。
美波に隙を作らせてはいけない。