油断は大得?!
おまけ
一之瀬誉Side

一目見て、引き付けられた。
なんて天真爛漫な‥心からの笑顔を見せる人だろうと。

名前も、連絡先も解らない。
時間にして‥【3分間の恋】とでも言ったところか…。
スーパーの袋を持ってるくらいだ。
最悪、既婚者かも知れない。
くそっ。俺は今時間が無い。…運が無いのか。

きっと卵、割れた事だろう。すまない。俺も良く見てなかったから。

彼女なら笑って何とかしてしまいそうだな。

…忘れなきゃだな。


俺は実家に呼び戻され、跡を継ぐことになってからフツフツと仕事をしていた。
立地に恵まれていて経営次第で、来客は望める。

正直支配人なんてまだ荷が重過ぎる。
言葉遣い一つ取っても、とても接客が出来るとは思えない。荒っぽいから。
毎日、毎日修業だ。

シルバーウィーク、埋まっていた予約客から人が変わるけど良いかと律儀に連絡が来た。

正直、本当の名前で宿泊してるのか疑わしい客だっている。

特にこんな鄙びた場所で、離れでなんて宿泊施設に来る客は、お忍びの女優や芸能界の関係者が多い。

そんな宿泊者が変更になった客を出迎えると、驚いた。あの女性だった。

焦った。気がついたようだ。俺は最初、わざと知らない振りをした。
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