油断は大得?!
また会えるなんて、思っても見なかった。
胸の奥で燻っていたモノに再び火が着いた気がした。
卑怯かも知れないが、名前も連絡先も知りたいと思った。
だから宿帳の記入は本人の名前を書くように勧めた。
こうしてやっと解った。英 美波という名前。
宿泊中、何とかして、接触を図りたかった。
焦りが先行して、空回りする。
上手くいかない。
別館の風呂を勧めた。
朝、椎名という彼氏が風呂に行けば、確実に会えると思っていた。
だがそうは上手くいかないモノだ。
流石、彼氏と言ったところだ。俺の不穏さに気がついたようだ。
結局、朝風呂には行かなかった。
俺は庭掃除を粧い、様子を窺っていた。
洩れ聞こえて来たのは、仲睦まじく戯れる声だった。
姑息な事は、上手く行くはずが無い。
この気持ち、どう、けり付けりゃあいいんだ…。