嘘に滲む
それから些細なケンカはあるものの、今まで仲良く付き合ってきた。

でも、これも多分今日で終わり。

私は今の住んでる街を出て、少し遠くの大学に行くのだ。

この事について、どうやら彼女は聞きたいらしい。


「ん~どうするって言ってもな~こればっかりは彼の気持ちもあるし…」

「なにそれー じゃあ、麻由はどう思ってるの!?」

「ん~」

私が返答に困っていると奴の声がした。

「ごめん!待たせた?」

パーマでふわふわさせた茶色い髪に、黒縁メガネ。平均的な身長のこの彼こそ、今話題に上がっている私の彼氏、真である。

流石のあゆも気を使ったのか、メールしてねっ!と言って帰って行った。


「帰ろっか」

彼の言葉に頷いて歩きだす。

頭の中ではあゆとの会話を思い浮かべていた。


『速水くんとこれからどうするの?』


実は答えは決まっている。










――私は今日、彼を振るのだ。
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