嘘に滲む
何故か心が吹っ切れて、嫌われてしまえと言う感情が出てきて、気付いたら自分がついた嘘を言っていた。


「本当は、いつも飲んでる薬は、貧血のやつと、偏頭痛の薬なの」
一度言い出したら止まらない。

「病院に仲の良い先生が居るのも嘘。従兄弟がバーで働いてるのも嘘。」

涙も出て来て止まらない。


「ピアノを習ってたのも、名前の由来も、先週結婚式に行ったのも嘘、嘘、嘘、嘘!!」


彼は少し目を見開いて、それでも真剣に聞いてくれる。

何故かスッキリして涙を流しながら笑った。






「真が知っている私も、ぜぇーーーんぶ嘘なの!!!」


この言葉を言った瞬間、彼がとびっきり優しい笑顔で両手を広げて言った。







「おいで、麻由。」
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