心の中を開く鍵
とりあえずビールを頼んで、何となくおつまみを選びながら、冷たいおしぼりで手を拭く。
「何か食べたいものある?」
「いや。別になんでも……あー。魚があるなら食いたい」
「焼き魚なら、サバとカレイがあるみたい」
「……どっちでもいい」
冷たいおしぼりより、暖かいおしぼりが個人的には好きかも。
そんな風に思いながら手を拭き終わって、おしぼりをたたんで顔を上げると、なんだかニヤニヤしている翔梧と目があった。
「何かおかしな事を言った?」
「いや? 案外、お前も覚えているもんだな」
なんの話だろう?
「俺……今は刺身も食えるようになったけど」
「…………」
そ、そうなんだ。そう……。
ごめんね、普通に焼き魚しか思いつかなかったわよ!
だって、昔は生もの全然ダメだったじゃない。だから“魚”って言われて焼き魚しか思い浮かばなかった。
そんな些細な事も覚えているなんて……私、どれだけ……。
一瞬、落ち込みかけて首を振る。
「だ、だからどうしたっていうのよ。でも、それだって昔の話で、今のあなたは全然知らないんだから!」
「知らないなら知っていけばいいだけだろ。楽しみだな?」
「楽しくないし、私は嫌だし!」
「何が嫌なのか言ってみろ」
何故か偉そうに言われて、眉を寄せる。
どーして、そんなに偉そうなのよ。
「何か食べたいものある?」
「いや。別になんでも……あー。魚があるなら食いたい」
「焼き魚なら、サバとカレイがあるみたい」
「……どっちでもいい」
冷たいおしぼりより、暖かいおしぼりが個人的には好きかも。
そんな風に思いながら手を拭き終わって、おしぼりをたたんで顔を上げると、なんだかニヤニヤしている翔梧と目があった。
「何かおかしな事を言った?」
「いや? 案外、お前も覚えているもんだな」
なんの話だろう?
「俺……今は刺身も食えるようになったけど」
「…………」
そ、そうなんだ。そう……。
ごめんね、普通に焼き魚しか思いつかなかったわよ!
だって、昔は生もの全然ダメだったじゃない。だから“魚”って言われて焼き魚しか思い浮かばなかった。
そんな些細な事も覚えているなんて……私、どれだけ……。
一瞬、落ち込みかけて首を振る。
「だ、だからどうしたっていうのよ。でも、それだって昔の話で、今のあなたは全然知らないんだから!」
「知らないなら知っていけばいいだけだろ。楽しみだな?」
「楽しくないし、私は嫌だし!」
「何が嫌なのか言ってみろ」
何故か偉そうに言われて、眉を寄せる。
どーして、そんなに偉そうなのよ。