心の中を開く鍵
「それで、私に“今さら”話したいことって何」
イッキ飲みした私にポカンとしていた翔梧が、ふっと笑ってビールを一口飲んだ。
「まぁ……それは改めて、かな?」
「話してよ。聞くから」
ジロリと睨んだら、首を振られた。
「攻撃的になってる真由には言いにくい。原因は俺だが」
「別に、あなたにだけ責任を押し付けるつもりはないわよ」
店員さんを呼び止めて、ビールの追加を頼むと、無表情の翔梧を振り返る。
「つきあっていたんなら、どちらか片方だけが悪いなんて事はないし」
たぶん、もっとハッキリと“寂しいから”一緒にいて欲しいと言えたなら、翔梧も振り返ってくれたかもしれない。
だって、基本的に優しい人なのは知っていたもの。
だけど、寂しいとまでは、私も言わなかったよね。
「やっぱり楽しくないよ。やめよう。昔の話は」
「いつかしないと、始まらなさそうだがなー?」
ネクタイを緩めながら、翔梧は呟いて、それから気を取り直したように眉を上げながら笑う。
「口説かれてくれるのか?」
「それは了承したつもりはないよ」
「つぅか、気がついたけど、お前って、案外口悪いんだなー?」
「まぁね。そういう翔梧もミーティング中は眼鏡かけて、無言じゃない」
「そりゃお前、課長はまとめ役ってやつだよ。中間管理職なんだから」
ビールと一緒に頼んだ食べ物たちが届いて、食べながらそんな会話をする。
友達……なら、翔梧はつきあいやすい人なのに。
そんなことを思いながらも、楽しく飲める私も現金な人間だと思う。
イッキ飲みした私にポカンとしていた翔梧が、ふっと笑ってビールを一口飲んだ。
「まぁ……それは改めて、かな?」
「話してよ。聞くから」
ジロリと睨んだら、首を振られた。
「攻撃的になってる真由には言いにくい。原因は俺だが」
「別に、あなたにだけ責任を押し付けるつもりはないわよ」
店員さんを呼び止めて、ビールの追加を頼むと、無表情の翔梧を振り返る。
「つきあっていたんなら、どちらか片方だけが悪いなんて事はないし」
たぶん、もっとハッキリと“寂しいから”一緒にいて欲しいと言えたなら、翔梧も振り返ってくれたかもしれない。
だって、基本的に優しい人なのは知っていたもの。
だけど、寂しいとまでは、私も言わなかったよね。
「やっぱり楽しくないよ。やめよう。昔の話は」
「いつかしないと、始まらなさそうだがなー?」
ネクタイを緩めながら、翔梧は呟いて、それから気を取り直したように眉を上げながら笑う。
「口説かれてくれるのか?」
「それは了承したつもりはないよ」
「つぅか、気がついたけど、お前って、案外口悪いんだなー?」
「まぁね。そういう翔梧もミーティング中は眼鏡かけて、無言じゃない」
「そりゃお前、課長はまとめ役ってやつだよ。中間管理職なんだから」
ビールと一緒に頼んだ食べ物たちが届いて、食べながらそんな会話をする。
友達……なら、翔梧はつきあいやすい人なのに。
そんなことを思いながらも、楽しく飲める私も現金な人間だと思う。