心の中を開く鍵
「僕が妻に、ストーカーと言われていたのは横に置くとして、ある意味では真っ直ぐに、山根さんを見ているということではないでしょうか?」
うん。いろいろ横に置いちゃいけない気もするけど、そういうことなんだろうなぁ。
翔梧は、間違いなく脇目も振らずにいたんだろうと思う。困ったことに。
だいたい普通の人なら、三年も行方不明な女は想わない。
眉を寄せると、持っていたファイル閉じて主任に詰め寄った。
「そういう人は、どうしたら諦めるでしょうか?」
「……飽きるまで、諦めないと思いますが」
キリッと真面目に返されて、溜め息と一緒に力が抜ける。
「……私はそんなに、固執されるほどの女でもないんですけど」
小さく呟いて、仕事に戻った。
「唐沢さん、高野商材から添付された資料のナンバリングと、プリントの枚数が足りないようなんですが。58枚で合っていますか?」
唐沢さんが驚いて、パソコンの画面で確認する。
「62枚よ。4枚どこいっちゃったかしら」
「プリンター見てきますね」
スタスタと、執務室に備え付けのプリンターに向かうと、唐沢さんと葛西主任が顔を見合わせていた。
「……山根さんは切り替えが早いわねー」
「……それが彼女ですね」
だって、仕事だもの。仕事をしないといけないでしょ。
スイッチが入れば切り替わるのはいつものことだし。遊びに来ているわけじゃないんだし。
自分のパソコンがないから、一回一回、唐沢さんに聞かないといけないことも多いけど。
「私はノートパソコンを申請すべきでしょうか」
溜め息交じりに呟くと、主任が腕を組んで難しい顔をする。
「……数週間もすればうちに戻るのですし、と思っていましたが、やはり効率が悪そうですね。デスクを持ち込んでも問題ないなら、入れさせていただいても?」
言いながら、唐沢さんを見た。
「こちらは問題ないわ。どうせ他の子達は滅多にここに来ないし」
うん。いろいろ横に置いちゃいけない気もするけど、そういうことなんだろうなぁ。
翔梧は、間違いなく脇目も振らずにいたんだろうと思う。困ったことに。
だいたい普通の人なら、三年も行方不明な女は想わない。
眉を寄せると、持っていたファイル閉じて主任に詰め寄った。
「そういう人は、どうしたら諦めるでしょうか?」
「……飽きるまで、諦めないと思いますが」
キリッと真面目に返されて、溜め息と一緒に力が抜ける。
「……私はそんなに、固執されるほどの女でもないんですけど」
小さく呟いて、仕事に戻った。
「唐沢さん、高野商材から添付された資料のナンバリングと、プリントの枚数が足りないようなんですが。58枚で合っていますか?」
唐沢さんが驚いて、パソコンの画面で確認する。
「62枚よ。4枚どこいっちゃったかしら」
「プリンター見てきますね」
スタスタと、執務室に備え付けのプリンターに向かうと、唐沢さんと葛西主任が顔を見合わせていた。
「……山根さんは切り替えが早いわねー」
「……それが彼女ですね」
だって、仕事だもの。仕事をしないといけないでしょ。
スイッチが入れば切り替わるのはいつものことだし。遊びに来ているわけじゃないんだし。
自分のパソコンがないから、一回一回、唐沢さんに聞かないといけないことも多いけど。
「私はノートパソコンを申請すべきでしょうか」
溜め息交じりに呟くと、主任が腕を組んで難しい顔をする。
「……数週間もすればうちに戻るのですし、と思っていましたが、やはり効率が悪そうですね。デスクを持ち込んでも問題ないなら、入れさせていただいても?」
言いながら、唐沢さんを見た。
「こちらは問題ないわ。どうせ他の子達は滅多にここに来ないし」