心の中を開く鍵
でも……手を繋ぐなんて、付き合っていた当時もやったことないのに。それを平気でやってしまう。
この人はいったい何なんだろう。
ぼんやりしていたら、またキュッと手を繋ぎ直されて、顔を上げたら、はにかんだような微笑みが返ってきた。
……嬉しそうだね。
なら、いいか。
翔梧の笑顔は嫌いじゃないし。
……と言うか、拒否していたらどんな計画を立てられるのか、うっすら背筋が寒くなるし。
「何が欲しいの?」
聞いてみたら、翔梧はスニーカーを指差した。
「靴。靴底がすり減って歩きにくい」
「営業でもないのに、翔梧はアクティブな課長さんだね」
「いや。普段は書類決済してる事の方が多いけど、たまに砂川さんに子守りに駆り出されんだよ」
子供たちに囲まれている翔梧を想像して眉をしかめる。
「翔梧が子守り?」
「あやすのうまいぞ?」
全然、想像できないけど。
でも、そんな事を話しながら靴を選んだり、駅前に並べられている雑貨屋の、おかしな人形に笑ったり、10代の子が多いなかクレープを買ってもらったりした。
「真由は結構な甘党だよな」
「悪い?」
定番のチョコバナナクレープを食べながら翔梧を睨むと、何かを思い出したように肩を震わせて笑っていた。
「……どうかした?」
「いや。昔、うちの冷蔵庫にあったプリンは、いつも賞味期限切れなかったな……と、思ってな」
「プリン……」
思い出したのは、翔梧に“待っていろ”と言われて、待っていた時の事。
家に行くと、必ず1つポツンとプリンが置いてあった。
それを暇だから食べて、変わりに同じものを買って戻しておいた。
まさか賞味期限チェックされていた?
この人はいったい何なんだろう。
ぼんやりしていたら、またキュッと手を繋ぎ直されて、顔を上げたら、はにかんだような微笑みが返ってきた。
……嬉しそうだね。
なら、いいか。
翔梧の笑顔は嫌いじゃないし。
……と言うか、拒否していたらどんな計画を立てられるのか、うっすら背筋が寒くなるし。
「何が欲しいの?」
聞いてみたら、翔梧はスニーカーを指差した。
「靴。靴底がすり減って歩きにくい」
「営業でもないのに、翔梧はアクティブな課長さんだね」
「いや。普段は書類決済してる事の方が多いけど、たまに砂川さんに子守りに駆り出されんだよ」
子供たちに囲まれている翔梧を想像して眉をしかめる。
「翔梧が子守り?」
「あやすのうまいぞ?」
全然、想像できないけど。
でも、そんな事を話しながら靴を選んだり、駅前に並べられている雑貨屋の、おかしな人形に笑ったり、10代の子が多いなかクレープを買ってもらったりした。
「真由は結構な甘党だよな」
「悪い?」
定番のチョコバナナクレープを食べながら翔梧を睨むと、何かを思い出したように肩を震わせて笑っていた。
「……どうかした?」
「いや。昔、うちの冷蔵庫にあったプリンは、いつも賞味期限切れなかったな……と、思ってな」
「プリン……」
思い出したのは、翔梧に“待っていろ”と言われて、待っていた時の事。
家に行くと、必ず1つポツンとプリンが置いてあった。
それを暇だから食べて、変わりに同じものを買って戻しておいた。
まさか賞味期限チェックされていた?