心の中を開く鍵
***



「よし、葉っぱ集めるよ~!」

「はーい!」

双子ちゃんとは聞いていなかったけど、元気いっぱいに由紀ちゃんと由香ちゃんは返事を返してくれた。
見た目は綺麗な奥さんそっくりで、たぶん人見知りしない性格は部長さんそっくりなんだろう。

たくさんの枯れ葉を集めて山にすると、近くの岩からジャンプして遊ぶ。

「ふかふかだよー」

「ふかふかだよー」

こだまのように左右から声をかけられて、思わず笑ってしまった。

それから、枯れ葉を集めては撒き散らかせて降らせる遊びにも飽きてくると、そんなに高くない木に登り始める。

「足をそっちにかけて。そう上手」

いつもの視界と違う高さは、興奮ものだったらしく、双子ちゃんははしゃぎながら、それぞれちょうど良さそうな枝に座ってコテージを見た。

ロッジ風のコテージのテラスで、部長さんが炭と格闘して、その近くで奥さんがお皿を並べている。

翔梧の姿を探したら……。

「お前ら、相当なお転婆だな」

足元から声がして、顔を赤らめた。

……見つかる予定は無かったんだけどな。

「そろそろ飯にするらしいから、 下りてこい」

呆れたように両手を広げる翔梧に、まず由紀ちゃんが飛び付いて、次に由香ちゃんが飛び付いた。

二人をそれぞれ地面に下ろして、翔梧は私を見上げて、また両手を広げる。

三人の視線を受けながら、瞬きを返した。

いや、当たり前……みたいな顔してるけどさ、それはいろんな意味で無理でしょ?

黙っていたら、何を思ったのか、翔梧に足を引っ張られた。

「ちょ……っ!」

バランスを崩して、翔梧の腕に受け止められる。

抱きついたまま硬直した。

び、びっくりしたー。

顔から地面に落ちるかと思ったー。

ポンポンとあやすように頭を叩かれて、地面に下ろされる。

「とりあえず、お前らは先に風呂だな。お前、着替え持ってきてんの?」

いろいろ言いたいけど、双子ちゃんは楽しそうに私と翔梧を見ているし……ひと言だけにしとこう。

「遊び相手に任命されたから、持ってきてる……」

ボソボソと呟いたら吹き出された。
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