心の中を開く鍵
「ここまで一緒になって遊べとは、お前に言ってないと思うが。まぁ、楽しそうで良かったな」

笑い続ける翔梧を睨みながら、コテージに向かって駆け出した双子ちゃんの後ろ姿を追う。

「お前って、子供好き?」

急に言われて、笑いながら頷いた。

「うん? そうだね。嫌いじゃないかな?」

「……俺と子作りする?」

さらっとされた呟きに絶句すると、口を開けたまま翔梧を眺める。

子作りって……あなた。

また吹き出されて、ますます目を丸くした。

「本当、真由は真面目だよなー。だけど、見てたら相当子供好きだけど」

「嫌いじゃないだけだもん!」

子供を嫌う人はたまにいるけど、そんなに多いとも思えないんだけど!

「お前の基準は難しいな。でも、少しわかった気がする」

私には何だかよくわからないけど、翔梧は何かに納得したらしい。

さらっと髪に触れられて、それからついていたらしい枯れ葉の欠片を取ってくれた。

それから無言でコテージまで歩いて、私と双子ちゃんの姿を見た奥さんが笑いながら手招きしてくれる。

「ごめんなさいね。山根さん。疲れたでしょう? お風呂用意するわ」

「大丈夫です。久しぶりに自然を満喫しました」

ここまで遊んだのは、子供の頃以来かもしれないけど。
そう思って笑っていたら、バーベキューコンロで何かを焼いていた部長さんが大きく頷いた。

「山根さんは、相当なお転婆だったんだなぁ」

顔を真っ赤にしてコテージ入って、テキパキと双子ちゃんの着替えを用意し始めた奥さんに両手を合わせて“ごめんなさい”される。

「デリカシーのない主人でごめんなさい。あと、汚れたものは洗濯しちゃうから、このカゴに入れてね」

「あ。いえ。それは申し訳ありませんから……」

人様に洗濯物頼むなんて、あり得ないですから!

「大丈夫。双子のモノと一緒に洗っちゃうから、ついでよついで」

「あ。じゃあ、私が双子ちゃんをお風呂入れちゃいます」

「えー。それこそ悪いよ」

「うち、兄弟いるんで、大丈夫です」

それから『キャッキャッ』と、はしゃぎっぱなしの双子ちゃんたちとシャワーを浴びてから、持ってきていたジャージに着替えてテラスに出ると、翔梧と部長さんに目を丸くされた。
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