心の中を開く鍵
「一人で待っているのは嫌」
「帰りは待ち合わせ……って、絶対お前の方が早そうだ」
切り返されて考える。
「そっかなー。そうかも。マーケティング企画課の課長って大変そう。私はたまに飛び込みで無茶言われてバタバタするくらいだし」
「会社の飲み会には誘えねーけど、砂川さんに無理矢理の時は助けに来い」
真面目に言われて小さく吹き出した。
一応、色々と考えてくれているらしい。
ひょいっと鍵に指をかけると、翔梧は瞬きして鍵からゆっくりと指を離す。
「いいのか?」
「いいんじゃないかな。何をいいのか聞いてるかわかんないけど。嫌な思い出も、そのうち無くなるくらい一緒にいれば何か変わると思うし」
銀色の鍵は、以前にもらったものよりちょっとゴツイかな。
なんのキーホルダーつけようか。考えていたら、じっと見下ろしている翔梧に気がついた。
「何?」
「……俺は、新聞受けに入ってなければいい」
「……あ、そう」
それが、翔梧の“嫌な思い出”なのかな?
微笑みながら考えて、鍵を握りしめると、その拳のままで翔梧の胸をトンと叩く。
「どこかでお酒に飲まれて寝てないでよ?」
「だから、砂川さんの時には助けにきてくれ。あの人、酒豪過ぎるんだ」
「そうなんだ。まぁ、挨拶にもいかなくちゃね」
「ああ……そんなことも……」
言いながら翔梧は絶句して、それから目を丸くした。
「挨拶に……行くつもりか?」
「え。だって、しに来いって言ってたじゃない?」
にこりと微笑むと、いきなり抱き締められた。
「ちょ……っ! こんなところで」
「情けないけど、今、顔見られたくない」
「情けない顔してるの?」
「少し……」
なら、仕方ないか。私もきっと顔赤いだろうし。
「帰りは待ち合わせ……って、絶対お前の方が早そうだ」
切り返されて考える。
「そっかなー。そうかも。マーケティング企画課の課長って大変そう。私はたまに飛び込みで無茶言われてバタバタするくらいだし」
「会社の飲み会には誘えねーけど、砂川さんに無理矢理の時は助けに来い」
真面目に言われて小さく吹き出した。
一応、色々と考えてくれているらしい。
ひょいっと鍵に指をかけると、翔梧は瞬きして鍵からゆっくりと指を離す。
「いいのか?」
「いいんじゃないかな。何をいいのか聞いてるかわかんないけど。嫌な思い出も、そのうち無くなるくらい一緒にいれば何か変わると思うし」
銀色の鍵は、以前にもらったものよりちょっとゴツイかな。
なんのキーホルダーつけようか。考えていたら、じっと見下ろしている翔梧に気がついた。
「何?」
「……俺は、新聞受けに入ってなければいい」
「……あ、そう」
それが、翔梧の“嫌な思い出”なのかな?
微笑みながら考えて、鍵を握りしめると、その拳のままで翔梧の胸をトンと叩く。
「どこかでお酒に飲まれて寝てないでよ?」
「だから、砂川さんの時には助けにきてくれ。あの人、酒豪過ぎるんだ」
「そうなんだ。まぁ、挨拶にもいかなくちゃね」
「ああ……そんなことも……」
言いながら翔梧は絶句して、それから目を丸くした。
「挨拶に……行くつもりか?」
「え。だって、しに来いって言ってたじゃない?」
にこりと微笑むと、いきなり抱き締められた。
「ちょ……っ! こんなところで」
「情けないけど、今、顔見られたくない」
「情けない顔してるの?」
「少し……」
なら、仕方ないか。私もきっと顔赤いだろうし。