心の中を開く鍵
「……溺愛されちゃってるのねー」
呆れ半分にポツリと呟くと……。
「それも、自信もっていいだろうな」
低い声の返事に、もう大丈夫だと判断して、苦笑いしながら顔を上げた。
そして、真面目な顔で見下ろしている翔梧に思わず吹き出す。
「どーして、そういう台詞だけは真面目に言えるのかな?」
「言ったことがないから……か?」
「結婚してくれも言ったことがないでしょうが」
翔梧は眉を下げて、遠くを見るように視線を外していく。
「……言葉にはしなかったけど、シミュレーションはしてたよな」
……プロポーズを脳内シミュレーションしてたの?
「……引くわー……」
「引くんじゃねぇ」
ムッとした翔梧の表情に笑っていたら、割り込んできた低い声。
「……そんな目立つところで何をやっているんですか。あなたたちは」
とことん呆れたようなその声に振り返り、そこに葛西主任の姿を見つけ、お互いに顔を赤らめて離れた。
「そんなでしたら、噂になるのは時間の問題ですよ」
厳しい顔の注意に、私はともかく、翔梧までシュンとしてお互いに顔を見合わせる。
そして、私たちが結婚するのは、それから半年後の春のことだった。
呆れ半分にポツリと呟くと……。
「それも、自信もっていいだろうな」
低い声の返事に、もう大丈夫だと判断して、苦笑いしながら顔を上げた。
そして、真面目な顔で見下ろしている翔梧に思わず吹き出す。
「どーして、そういう台詞だけは真面目に言えるのかな?」
「言ったことがないから……か?」
「結婚してくれも言ったことがないでしょうが」
翔梧は眉を下げて、遠くを見るように視線を外していく。
「……言葉にはしなかったけど、シミュレーションはしてたよな」
……プロポーズを脳内シミュレーションしてたの?
「……引くわー……」
「引くんじゃねぇ」
ムッとした翔梧の表情に笑っていたら、割り込んできた低い声。
「……そんな目立つところで何をやっているんですか。あなたたちは」
とことん呆れたようなその声に振り返り、そこに葛西主任の姿を見つけ、お互いに顔を赤らめて離れた。
「そんなでしたら、噂になるのは時間の問題ですよ」
厳しい顔の注意に、私はともかく、翔梧までシュンとしてお互いに顔を見合わせる。
そして、私たちが結婚するのは、それから半年後の春のことだった。