心の中を開く鍵
エピローグ
*****
彼は、友達をとても大切にする人。
大学の先輩で、一足先に社会人になっていて、しかも現在はマーケティング企画課の課長をしているから忙しいと思う。
うん。
友達や同僚とのつきあいを蔑ろにする人よりはいいし。大切にすることは、とってもいいと思うんだ。
それに今は、ちゃんと私のことも大切にしてくれる。
とてもとても大切にしてくれる。
それはありがたいし、嬉しいことだし、それはそれでいいんだと思うんだ?
思うんだけど……。
「たまーに、課の人と女子会をしたいんだけど」
休日にソファーに座りながら、雑誌をめくる彼に首を傾げる。
「帰り遅くなるなら……俺が迎えに行く。それでいいならオーケー」
視線も上げずに言うから、ちょっとムッとした。
「あなたが部下の人を連れて、飲み会に行ったとき、私は迎えにいった?」
「夜道のリスクが高いのは、女のお前の方が高いだろ」
ありがとう。
うん。ちゃんと考えてくれているのはわかるんだけどねぇ。
「束縛系はモテないぞー?」
「別にモテたいわけじゃないし」
「んじゃ、私に愛想つかされたいわけね。わかったー」
翔梧が雑誌をバシッと閉じて、無言で顔を上げる。
「あのね翔梧。もう夫婦なんだし、そこまでしなくても私は逃げないから」
「……逃がさないけど」
溜め息をついて翔梧から雑誌を取り上げると、その膝の上に座って、首に両手を巻き付ける。
「翔梧。女は秘密のひとつやふたつ、持っていたい生き物なのよ」
「俺は別に秘密にしたいことはない」
そうだねー。
それは、ここ1年でよくわかるわー。
諦め半分、耳元に唇を近づけて囁いてみる。
「絶対に親バカになりそう」
彼は、友達をとても大切にする人。
大学の先輩で、一足先に社会人になっていて、しかも現在はマーケティング企画課の課長をしているから忙しいと思う。
うん。
友達や同僚とのつきあいを蔑ろにする人よりはいいし。大切にすることは、とってもいいと思うんだ。
それに今は、ちゃんと私のことも大切にしてくれる。
とてもとても大切にしてくれる。
それはありがたいし、嬉しいことだし、それはそれでいいんだと思うんだ?
思うんだけど……。
「たまーに、課の人と女子会をしたいんだけど」
休日にソファーに座りながら、雑誌をめくる彼に首を傾げる。
「帰り遅くなるなら……俺が迎えに行く。それでいいならオーケー」
視線も上げずに言うから、ちょっとムッとした。
「あなたが部下の人を連れて、飲み会に行ったとき、私は迎えにいった?」
「夜道のリスクが高いのは、女のお前の方が高いだろ」
ありがとう。
うん。ちゃんと考えてくれているのはわかるんだけどねぇ。
「束縛系はモテないぞー?」
「別にモテたいわけじゃないし」
「んじゃ、私に愛想つかされたいわけね。わかったー」
翔梧が雑誌をバシッと閉じて、無言で顔を上げる。
「あのね翔梧。もう夫婦なんだし、そこまでしなくても私は逃げないから」
「……逃がさないけど」
溜め息をついて翔梧から雑誌を取り上げると、その膝の上に座って、首に両手を巻き付ける。
「翔梧。女は秘密のひとつやふたつ、持っていたい生き物なのよ」
「俺は別に秘密にしたいことはない」
そうだねー。
それは、ここ1年でよくわかるわー。
諦め半分、耳元に唇を近づけて囁いてみる。
「絶対に親バカになりそう」