その手が暖かくて、優しくて
「ねぇ瑞希、生徒会長になったら、瑞希は副会長にしてあげるね」
「はいはい」
「まずは、購買部のパンだなぁ…メニューもうんと増やして…」
「はいはい…」
「そうだ!お弁当とか、カップ麺とかも売るようにして…ほら、コンビニみたいにポットにお湯も用意しておいてさ!」
「あのねぁ…亜里沙…もうちょっと真面目に考えなさいよ」
放課後、亜里沙と瑞希は駅前にあるファミリーレストランにいた。2日後に控えた全校演説会のスピーチ原稿を書くためである。
メロンソーダを一口飲んで、瑞希はテーブルの上にある、まだ真っ白な原稿用紙を指さしながら亜里沙に言った。
「うん…でも、ほら、いっそコンビニみたくお菓子なんかも売ってれば便利じゃない?」
「あ!それいい!チョコにドーナツに…」瑞希は、そこまで乗りかけてから
「もう!真面目にやんないなら手伝ってあげないよ!」
「ごめん…」亜里沙は瑞希に謝ってからガムシロップをたっぷり入れたアイスコーヒーに口をつけた。
「まず、今の生徒会や学校の問題点が何なのかをハッキリさせて、その改善を訴えることが必要よね。たぶん今の生徒会に不満を持っている生徒はたくさんいると思うし…。」
「問題点かぁ…」亜里沙は考えた。今の生徒会が「良くない」と思ったから、そして、それを変えようと思ったから生徒会長に立候補したのだったが、それをちゃんとした言葉にして、人に伝えることの難しさに悩んでいた。
「一番いけないのは、生徒会長の綾小路一人に権力が集中しすぎていることだと思うんだ。あいつのやりたい放題で、健介のときみたいに卑怯なことまで平気でやってる。誰もいまの綾小路を止めたりできないことが問題なのよ」
「ふーん…」瑞希の話を聞いて、元は亜里沙より成績優秀なCクラスだっただけあって、瑞希は頭がいいなぁと亜里沙は考えながら、
「アタシは思うんだけど、いまのクラス分けと、そのクラスの階級制度みたいなもので、なんだか学校がバラバラになってるような気がするの…」
「うん!その調子!そういう感じで順番にあげていこうよ。」
原稿用紙にペンを走らせながら瑞希が言った。
結局、辺りが暗くなるまでファミレスにいた2人は、なんとかスピーチ原稿を書き上げた。瑞希はアルバイトがあるとかで電車で都内に向かうと言って駅で別れた。
家に帰ってから亜里沙は
「うわーなんだか疲れちゃった~」
そう言いながらベッドに仰向けで寝ころんだ。こうやってスピーチ原稿まで出来上がってくると、今度は大勢の生徒たちのまえで演説することに対する緊張と不安が彼女の胸に湧き上がってきた。
でも…
少しワクワクするような期待感も同時に亜里沙は感じていた。
「はいはい」
「まずは、購買部のパンだなぁ…メニューもうんと増やして…」
「はいはい…」
「そうだ!お弁当とか、カップ麺とかも売るようにして…ほら、コンビニみたいにポットにお湯も用意しておいてさ!」
「あのねぁ…亜里沙…もうちょっと真面目に考えなさいよ」
放課後、亜里沙と瑞希は駅前にあるファミリーレストランにいた。2日後に控えた全校演説会のスピーチ原稿を書くためである。
メロンソーダを一口飲んで、瑞希はテーブルの上にある、まだ真っ白な原稿用紙を指さしながら亜里沙に言った。
「うん…でも、ほら、いっそコンビニみたくお菓子なんかも売ってれば便利じゃない?」
「あ!それいい!チョコにドーナツに…」瑞希は、そこまで乗りかけてから
「もう!真面目にやんないなら手伝ってあげないよ!」
「ごめん…」亜里沙は瑞希に謝ってからガムシロップをたっぷり入れたアイスコーヒーに口をつけた。
「まず、今の生徒会や学校の問題点が何なのかをハッキリさせて、その改善を訴えることが必要よね。たぶん今の生徒会に不満を持っている生徒はたくさんいると思うし…。」
「問題点かぁ…」亜里沙は考えた。今の生徒会が「良くない」と思ったから、そして、それを変えようと思ったから生徒会長に立候補したのだったが、それをちゃんとした言葉にして、人に伝えることの難しさに悩んでいた。
「一番いけないのは、生徒会長の綾小路一人に権力が集中しすぎていることだと思うんだ。あいつのやりたい放題で、健介のときみたいに卑怯なことまで平気でやってる。誰もいまの綾小路を止めたりできないことが問題なのよ」
「ふーん…」瑞希の話を聞いて、元は亜里沙より成績優秀なCクラスだっただけあって、瑞希は頭がいいなぁと亜里沙は考えながら、
「アタシは思うんだけど、いまのクラス分けと、そのクラスの階級制度みたいなもので、なんだか学校がバラバラになってるような気がするの…」
「うん!その調子!そういう感じで順番にあげていこうよ。」
原稿用紙にペンを走らせながら瑞希が言った。
結局、辺りが暗くなるまでファミレスにいた2人は、なんとかスピーチ原稿を書き上げた。瑞希はアルバイトがあるとかで電車で都内に向かうと言って駅で別れた。
家に帰ってから亜里沙は
「うわーなんだか疲れちゃった~」
そう言いながらベッドに仰向けで寝ころんだ。こうやってスピーチ原稿まで出来上がってくると、今度は大勢の生徒たちのまえで演説することに対する緊張と不安が彼女の胸に湧き上がってきた。
でも…
少しワクワクするような期待感も同時に亜里沙は感じていた。