その手が暖かくて、優しくて
恐怖のなかで、当然、眠ることもできず亜里沙は椅子に縛り付けられたままだった。
(いま何時くらいなんだろ…おかあさん心配してるだろうな…きっと今頃、警察がアタシを探してくれているはずだ…)
そう考えた亜里沙だったが、その辺には抜かりのない小悪党たちは、亜里沙のスマホから彼女の母親に「今夜は瑞希の家に泊まるから」とメールで連絡してあった。これまでも一緒に試験勉強するからとかいう理由で、そういうことが度々あったため亜里沙の母親は、それを信じてしまっていた。
すると小悪党、日下光也が亜里沙のほうへ近づいてきた。
「よく見ると、なかなか可愛い顔してんじゃねぇか…夜は長いし俺が遊んでやろうか?」
そんな光也に対して顔をそむけた亜里沙は無言のままだった。
「おい!なんとか言えよ!」
「あんた誰なの?もう!帰してよ!」
「お前は明後日まで帰れねぇんだよ!いいから、それまで俺と仲良くしようぜ」
そう言いながら亜里沙に顔を近づけた光也に
「やめてよ!おっさん臭い顔してるくせに!」
亜里沙は気持ち悪さと怒りから思わず、そう叫んだ。
「おっさん臭い顔」
それは光也が一番、気にしていることだった。
彼は小学校6年生くらいで、すでに中年の雰囲気を持ち、当時のあだ名も「おっさん」
中学にあがったあたりから、彼のあだ名は「部長」となり、
「部長、痛風らしいよ」とか「部長はスナックに通っているいるらしい」とか「部長からは加齢臭がする」だとか言われ、多感な少年だった彼は傷ついた。
「なんだと~」激怒した日下の平手が亜里沙の顔に飛んだ。
バシッ!
ぶたれた亜里沙の頬が赤く染まり、彼女の目から涙が溢れた。
それは頬をぶたれた痛みからではなく、悔しくて、悔しくて我慢できずに流した涙だった。
「勝弥さん!亜里沙さんが見つかったかもしれません」そんな電話を祐希から受けた勝弥は
「どこだ?」
「チームのやつからの連絡で、西のはずれにある廃工場に不良っぽい10人くらいの男が女の子を連れて入っていくのを見たやつがいたそうです。」
「廃工場?」
「いま地図送りますから、僕たちも今向かっているところです。」
しばらくして、勝弥のスマホに祐希から亜里沙が監禁されていると思われる廃工場の地図が送られてきた。そこは偶然、いま勝弥がいる場所の近くだった。
(今いくぞ!亜里沙!)
勝弥は廃工場に向かって走った。
(いま何時くらいなんだろ…おかあさん心配してるだろうな…きっと今頃、警察がアタシを探してくれているはずだ…)
そう考えた亜里沙だったが、その辺には抜かりのない小悪党たちは、亜里沙のスマホから彼女の母親に「今夜は瑞希の家に泊まるから」とメールで連絡してあった。これまでも一緒に試験勉強するからとかいう理由で、そういうことが度々あったため亜里沙の母親は、それを信じてしまっていた。
すると小悪党、日下光也が亜里沙のほうへ近づいてきた。
「よく見ると、なかなか可愛い顔してんじゃねぇか…夜は長いし俺が遊んでやろうか?」
そんな光也に対して顔をそむけた亜里沙は無言のままだった。
「おい!なんとか言えよ!」
「あんた誰なの?もう!帰してよ!」
「お前は明後日まで帰れねぇんだよ!いいから、それまで俺と仲良くしようぜ」
そう言いながら亜里沙に顔を近づけた光也に
「やめてよ!おっさん臭い顔してるくせに!」
亜里沙は気持ち悪さと怒りから思わず、そう叫んだ。
「おっさん臭い顔」
それは光也が一番、気にしていることだった。
彼は小学校6年生くらいで、すでに中年の雰囲気を持ち、当時のあだ名も「おっさん」
中学にあがったあたりから、彼のあだ名は「部長」となり、
「部長、痛風らしいよ」とか「部長はスナックに通っているいるらしい」とか「部長からは加齢臭がする」だとか言われ、多感な少年だった彼は傷ついた。
「なんだと~」激怒した日下の平手が亜里沙の顔に飛んだ。
バシッ!
ぶたれた亜里沙の頬が赤く染まり、彼女の目から涙が溢れた。
それは頬をぶたれた痛みからではなく、悔しくて、悔しくて我慢できずに流した涙だった。
「勝弥さん!亜里沙さんが見つかったかもしれません」そんな電話を祐希から受けた勝弥は
「どこだ?」
「チームのやつからの連絡で、西のはずれにある廃工場に不良っぽい10人くらいの男が女の子を連れて入っていくのを見たやつがいたそうです。」
「廃工場?」
「いま地図送りますから、僕たちも今向かっているところです。」
しばらくして、勝弥のスマホに祐希から亜里沙が監禁されていると思われる廃工場の地図が送られてきた。そこは偶然、いま勝弥がいる場所の近くだった。
(今いくぞ!亜里沙!)
勝弥は廃工場に向かって走った。