その手が暖かくて、優しくて
瑞希ちゃん…

大好きな瑞希ちゃん…泣かないで
ワタシまで悲しくなるから、

いっぱい散歩連れて行ってくれてありがとう
いっぱい遊んでくれてありがとう
毎日、おいしいごはんありがとう

ワタシはね…瑞希ちゃんが大好き

瑞希ちゃんが傍にいてくれるから
以前のように、たくさん尻尾振って見せてあげたいのに…
瑞希ちゃんに飛びついて、顔をペロペロしたいのに…

もう体が動かないんだ…

ごめんね…ごめんね…

瑞希ちゃんが泣いてるのワタシのせいだよね

ああ…誰か…ワタシのかわりに瑞希ちゃんを抱きしめてあげて

そして
「泣かなくていいんだよ」って言ってあげて

いっぱい「ありがとう」って言いたいのに
ワタシはとっても、とっても幸せだったのに…


もう行くね

大好きな、大好きな、大好きな瑞希ちゃん

「ワタシがいなくなっても、私の分も生きてね」



瑞希に看取られながら、「ハナ」は死んだ。
そのとき彼女は思い切り泣いた。

そして、初めて「死」というものを目の当たりにして、
悔いのないよう生きることの大切さを知った。

高校生になってからの彼女は、自分の夢に向かって積極的に挑戦し、
2年生になってからは、綾小路による生徒会への抵抗活動に励んだ。
結果、そのことは「龍神会」という組織の結成につながり、
いま、その最終戦争のなかにある。

「亜里沙…アタシが絶対にアンタを勝たせる。あの腐った生徒会をつぶして、悔いのない高校生活にするんだ」

瑞希は全力で、自分の人生を生きたいと考えるようになっていた。




そして、ハナは「ホトケサマ」になった。


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