その手が暖かくて、優しくて
そもそも、現生徒会幹部は一枚岩ではなく、その結束力を問われれば、決して強くはない。
防衛担当トップの真鍋勝弥は、そのビッグネームの看板欲しさに綾小路がAクラスの席など、あらゆる学内での特典を提示して就いてもらっているが、綾小路から何かを指示したりできる相手ではない。
また清宮も当初から綾小路とは一線を引いているところがあった。
そんな中で金田は違った。生徒会の財務担当として金庫番のような役目をはたしているが、元々はクラスでも目立たない存在で友達も少なかった彼は、生徒会幹部という地位を得て、バラ色の高校生活を獲得した。だから彼は綾小路の忠実な僕として華麻呂からの信頼も厚かった。
したがって今回の選挙で勝つか負けるかは金田にとっても重大事であるはずだが、いま彼の頭のなかでは生徒会長選挙なんかより気にしていることがあった。
「手紙を下駄箱に入れてから一週間も経つのに…瑞希ちゃんは、どうして何も返してくれないんだろう」
アイドルおたくの彼にとって一番のオシメンアイドル「ぷるる」こと「柴崎富瑠香」にそっくりな瑞希に金田は一目惚れしたのだった。彼は、これまで女性にモテたことなど一度もなく、得意なスポーツや才能があるわけでもない。自分の容姿についても十分わかっていた。しかし今は生徒会幹部の金田金好。ここ旭が丘高校で、この肩書きがあればイケるはず…と考えていた。
それなのに…
瑞希の反応を期待して待っているうちに一週間が経ってしまった。
金田はいろいろ考え、そして、またも妄想した。
「ごめんなさい。私みたいなEクラスの女が金田君の彼女になんかなれない」
「何言ってるんだい?僕にはクラスなんて関係ないよ」
「そこまで金田君が私を…
嬉しい。でもEクラスの私が金田君と付き合ったりしたら女子生徒全員から恨まれちゃう…」
…なんてことを心配しているんだろうか?
金田金好18歳
あまりにポジティブ過ぎる男だった。
だが、このポジティブ男は現在、ある「不正」に手を染めていた。
「ぷるる」の応援には、とてもお金がかかった。
先日のアイドルグループ内での「総選挙」では、その投票権を獲得するため、大量のCDを買った。ほかにもDVDや写真集など、大好きなぷるるに囲まれて生活するために金田は「おこずかい」の全てを費やしていたのだが、それだけでは足りなくなってきていた。そこで、彼は自分の立場を利用して生徒会費の流用をしていた。
会長の華麻呂も、以前から同じく流用は度々行っており、その度に会計係である彼が、その隠ぺいのため手を貸してきた。
「だから僕もこれぐらいなら…」なんて、勝手に自分で、それを正当化していた。
防衛担当トップの真鍋勝弥は、そのビッグネームの看板欲しさに綾小路がAクラスの席など、あらゆる学内での特典を提示して就いてもらっているが、綾小路から何かを指示したりできる相手ではない。
また清宮も当初から綾小路とは一線を引いているところがあった。
そんな中で金田は違った。生徒会の財務担当として金庫番のような役目をはたしているが、元々はクラスでも目立たない存在で友達も少なかった彼は、生徒会幹部という地位を得て、バラ色の高校生活を獲得した。だから彼は綾小路の忠実な僕として華麻呂からの信頼も厚かった。
したがって今回の選挙で勝つか負けるかは金田にとっても重大事であるはずだが、いま彼の頭のなかでは生徒会長選挙なんかより気にしていることがあった。
「手紙を下駄箱に入れてから一週間も経つのに…瑞希ちゃんは、どうして何も返してくれないんだろう」
アイドルおたくの彼にとって一番のオシメンアイドル「ぷるる」こと「柴崎富瑠香」にそっくりな瑞希に金田は一目惚れしたのだった。彼は、これまで女性にモテたことなど一度もなく、得意なスポーツや才能があるわけでもない。自分の容姿についても十分わかっていた。しかし今は生徒会幹部の金田金好。ここ旭が丘高校で、この肩書きがあればイケるはず…と考えていた。
それなのに…
瑞希の反応を期待して待っているうちに一週間が経ってしまった。
金田はいろいろ考え、そして、またも妄想した。
「ごめんなさい。私みたいなEクラスの女が金田君の彼女になんかなれない」
「何言ってるんだい?僕にはクラスなんて関係ないよ」
「そこまで金田君が私を…
嬉しい。でもEクラスの私が金田君と付き合ったりしたら女子生徒全員から恨まれちゃう…」
…なんてことを心配しているんだろうか?
金田金好18歳
あまりにポジティブ過ぎる男だった。
だが、このポジティブ男は現在、ある「不正」に手を染めていた。
「ぷるる」の応援には、とてもお金がかかった。
先日のアイドルグループ内での「総選挙」では、その投票権を獲得するため、大量のCDを買った。ほかにもDVDや写真集など、大好きなぷるるに囲まれて生活するために金田は「おこずかい」の全てを費やしていたのだが、それだけでは足りなくなってきていた。そこで、彼は自分の立場を利用して生徒会費の流用をしていた。
会長の華麻呂も、以前から同じく流用は度々行っており、その度に会計係である彼が、その隠ぺいのため手を貸してきた。
「だから僕もこれぐらいなら…」なんて、勝手に自分で、それを正当化していた。