その手が暖かくて、優しくて
「何、このパスワード?」
「『ぷるるラブラブ』ですよ」
「ふーん…」
あれほど金田が返事がないことを気にして、瑞希からの反応を待っていたのに、彼から来た下駄箱の手紙のことを、そのときまで瑞希は、すっかり忘れてしまっていた。
(そっか…金田は、ぷるるファンなのね…)
やがて金田のパソコンにはデスクトップが立ち上がった。
いくつかのファイルを確認しながら、金森はUSBメモリーをパソコンに差し込み、データコピーを開始した。
そのとき
正門の健介からメッセージが入った。
「大田原が来た」(◎o◎)!
「…………!!」
「いま正門抜けて玄関に向かってる」
健介からの連絡に金森と瑞希は驚き、しばし、体が固まってしまった。
西側階段で見張りをしていた佐藤も同様である。
(まずい…他のやつならいいが、あいつは俺にも止められない。)
侵入者たちに緊張が走った。
金森は
(なぜだ?なぜ大田原がここに?確かに夕刻、下校する姿を確認したのに…)
たまたま、その日、見張り役の当番だった後輩に電話をかけた大田原権三は、電話に出ない後輩にキレて、ヤキを入れてやるつもりで深夜の校舎にやって来たのだった。
「あの野郎!俺からの電話を無視しやがって…」
その腫れぼったい瞼に包まれた細い目が怒りに満ちているようにも見えるが、単にそれは携帯小説を読んで、泣きすぎたために目が腫れてただけだった。
教職員玄関から校舎内に入った権三は廊下を右に折れて階段へと向かっていた。
(まずい…このままでは見つかる。しかも相手はあの大田原権三…)
金田のパソコンには「データコピー中」の表示の下に残り時間は5分と出ている。
データは既に70%まで取り込めているのに…
瑞希は亜里沙にメッセージを送った。
「なんとか時間を稼いで!」
(はあああああ??)
亜里沙は思った。大田原がどんなやつかは知らないが、佐藤たちの反応から、危なくて、おっかないやつであることは間違いない。
「無理」(ToT≡ToT)
と瑞希に返事したが
「やるの!」o(`□´)o
と返ってきた
(そんなぁ…絶対、無理!)
そんなことをやってる間にも、大田原は階段を上り、涙目で焦る亜里沙の元に近づいて来ていた。
「『ぷるるラブラブ』ですよ」
「ふーん…」
あれほど金田が返事がないことを気にして、瑞希からの反応を待っていたのに、彼から来た下駄箱の手紙のことを、そのときまで瑞希は、すっかり忘れてしまっていた。
(そっか…金田は、ぷるるファンなのね…)
やがて金田のパソコンにはデスクトップが立ち上がった。
いくつかのファイルを確認しながら、金森はUSBメモリーをパソコンに差し込み、データコピーを開始した。
そのとき
正門の健介からメッセージが入った。
「大田原が来た」(◎o◎)!
「…………!!」
「いま正門抜けて玄関に向かってる」
健介からの連絡に金森と瑞希は驚き、しばし、体が固まってしまった。
西側階段で見張りをしていた佐藤も同様である。
(まずい…他のやつならいいが、あいつは俺にも止められない。)
侵入者たちに緊張が走った。
金森は
(なぜだ?なぜ大田原がここに?確かに夕刻、下校する姿を確認したのに…)
たまたま、その日、見張り役の当番だった後輩に電話をかけた大田原権三は、電話に出ない後輩にキレて、ヤキを入れてやるつもりで深夜の校舎にやって来たのだった。
「あの野郎!俺からの電話を無視しやがって…」
その腫れぼったい瞼に包まれた細い目が怒りに満ちているようにも見えるが、単にそれは携帯小説を読んで、泣きすぎたために目が腫れてただけだった。
教職員玄関から校舎内に入った権三は廊下を右に折れて階段へと向かっていた。
(まずい…このままでは見つかる。しかも相手はあの大田原権三…)
金田のパソコンには「データコピー中」の表示の下に残り時間は5分と出ている。
データは既に70%まで取り込めているのに…
瑞希は亜里沙にメッセージを送った。
「なんとか時間を稼いで!」
(はあああああ??)
亜里沙は思った。大田原がどんなやつかは知らないが、佐藤たちの反応から、危なくて、おっかないやつであることは間違いない。
「無理」(ToT≡ToT)
と瑞希に返事したが
「やるの!」o(`□´)o
と返ってきた
(そんなぁ…絶対、無理!)
そんなことをやってる間にも、大田原は階段を上り、涙目で焦る亜里沙の元に近づいて来ていた。