その手が暖かくて、優しくて
校内裁判
無事、校舎の外に脱出した5人は再び、集合した公園にいた。

「あ~一時はダメかと思ったよ…」
そう言う瑞希に

「ひどいよ!瑞希!本当に怖かったんだから…」

「ごめん。ごめん。亜里沙。でも、太田原と何があったの?」
そう尋ねる瑞希に

「うーん??アタシにも何が起こったんだか、よく分かんないだよね…」
亜里沙はいまだ、無事に大田原から逃げることができた理由が分かっていなかった。

「でも、とりあえず上手くいったね。」
そう言う瑞希に

「とにかく、この盗み出したデータを徹底的に調べてみます。」
金森が笑顔で答えた。





一方、大田原が気付いたとき、周囲には誰もいなくなっていた。
「美音ちゃん…」

大田原の頭の中は、ほんの一瞬だけ目が合ったネコ耳少女のことでいっぱいだった。
恋に恋する大田原権三が恋に落ちた瞬間だった。
真鍋勝弥が大嫌いな権三。

亜里沙の周りは、とても面倒くさいことになっていた。



翌朝、登校した権三は正門で、大きな声を出して投票を呼び掛けている女子生徒を見た。彼女は昨夜、校舎で会ったネコ耳の女の子だった。

「あ…!」

驚いた権三だったが、全校演説の日は学校をサボっていたし、いつも遅刻ばかりしている彼は、この日初めて生徒会長に立候補した葉山亜里沙を見たのだった。

「あの子が葉山亜里沙だったのか…」
その亜里沙が深夜に生徒会室がある校舎4階にいたということは…
しかし、権三にとって、もはや、そんなことはどうでもよかった。
彼は、昨夜のネコ耳少女に再び会えたことと、彼女が同じ学校の生徒だったことがわかって胸が躍った。




一方、いつもどおり早くから正門で、亜里沙は登校する生徒たちに投票を呼び掛けていた。
そろそろ、教室に向かおうかなと考えていたとき、彼女の目の前に一人の大男が立った。その男の顔を見上げて、亜里沙は驚いた。

(やば!昨夜の顔でかいひとだ…)
焦る亜里沙に権三は

「あの…がんばって…」

それだけ言って生徒用玄関のほうへ行ってしまった。

???????

亜里沙は困惑するだけだった。


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