その手が暖かくて、優しくて
「動揺しながら女子生徒は金森に答える。
『へ?にゃにも入ってまへんよ…』
明らかに口のなかに何か入っている。
『いいから見せなさい!』金森の厳しい言葉に女子生徒はゆっくりと口を開いた。
…………!
そこには…まだ舐め始めくらいの飴が…!
『はい!16時15分。現行犯!』
金森の眼光が、またしても犯罪を暴きだしたのだ」
(なんなの!この番組!ムカつく!)
瑞希は教室を飛び出した。
ちょうど、その頃、
正門付近ではちょっとしたトラブルが発生していた。
そこに15人くらいの危なそうな不良グループが集まっていたのだ。
彼らは、先日、亜里沙と健介に絡んだところを勝弥に邪魔され、ボコボコにされた芝久代学園の不良に泣きつかれ、勝弥に対して報復にきた連中だった。
彼らのなかには現役の高校生ではなく、いわゆるOBまで混ざっていた。彼らは勝弥のことを噂には聞いているものの、これだけの人数で向かえば勝てるだろうと考えていた。
「おらぁ!誰か出てこいよ!」そう怒鳴る不良の集団に、
旭が丘高校では、ときおり心配そうに、その様子を見る生徒たちはいたが、
そんな不穏な空気に、皆は怯えながら見守るだけだった。
そこへ一人の旭が丘校生徒が彼らに歩み寄って行った。
彼は2年生の柏木祐希。背は高いが黒髪に薄い眼鏡をかけ、いかにも真面目といった感じの風貌である。
彼はゆっくりと他校生グループのところまで行くと、彼らの前で立ち止まって
「何か当校に御用ですか?」
そう尋ねる祐希に正門に集まっていた不良の一人が
「お前、ここの生徒だな!真鍋に用があるから呼んで来い!」
「勝弥さんに何か用なんですか?」
相変わらず祐希は穏やかな口調で、そう尋ねた。
眼鏡の奥の眼も、そして、その表情も穏やかというか、むしろ笑顔で…
「いいから呼んで来いって言ってんだよ!」
大きな声で凄みながら、彼は祐希に詰め寄った。
祐希は、
「そっか…それなら見逃すわけにはいかないなぁ…」
急に彼の表情は変わり、眼鏡の奥で彼の眼が鋭く光った。
突然、旭が丘正門で起こった1人対15人のケンカは5分ほどで終わった。
しばらくして、騒ぎを聞きつけた真鍋勝弥が正門まで来ると、
そこには、すでに倒された他校の生徒たちが、うずくまり、痛みを訴える呻き声をあげていた。
「祐希だな…」
勝弥はその状況を見て、すぐさま、それを悟った。
『へ?にゃにも入ってまへんよ…』
明らかに口のなかに何か入っている。
『いいから見せなさい!』金森の厳しい言葉に女子生徒はゆっくりと口を開いた。
…………!
そこには…まだ舐め始めくらいの飴が…!
『はい!16時15分。現行犯!』
金森の眼光が、またしても犯罪を暴きだしたのだ」
(なんなの!この番組!ムカつく!)
瑞希は教室を飛び出した。
ちょうど、その頃、
正門付近ではちょっとしたトラブルが発生していた。
そこに15人くらいの危なそうな不良グループが集まっていたのだ。
彼らは、先日、亜里沙と健介に絡んだところを勝弥に邪魔され、ボコボコにされた芝久代学園の不良に泣きつかれ、勝弥に対して報復にきた連中だった。
彼らのなかには現役の高校生ではなく、いわゆるOBまで混ざっていた。彼らは勝弥のことを噂には聞いているものの、これだけの人数で向かえば勝てるだろうと考えていた。
「おらぁ!誰か出てこいよ!」そう怒鳴る不良の集団に、
旭が丘高校では、ときおり心配そうに、その様子を見る生徒たちはいたが、
そんな不穏な空気に、皆は怯えながら見守るだけだった。
そこへ一人の旭が丘校生徒が彼らに歩み寄って行った。
彼は2年生の柏木祐希。背は高いが黒髪に薄い眼鏡をかけ、いかにも真面目といった感じの風貌である。
彼はゆっくりと他校生グループのところまで行くと、彼らの前で立ち止まって
「何か当校に御用ですか?」
そう尋ねる祐希に正門に集まっていた不良の一人が
「お前、ここの生徒だな!真鍋に用があるから呼んで来い!」
「勝弥さんに何か用なんですか?」
相変わらず祐希は穏やかな口調で、そう尋ねた。
眼鏡の奥の眼も、そして、その表情も穏やかというか、むしろ笑顔で…
「いいから呼んで来いって言ってんだよ!」
大きな声で凄みながら、彼は祐希に詰め寄った。
祐希は、
「そっか…それなら見逃すわけにはいかないなぁ…」
急に彼の表情は変わり、眼鏡の奥で彼の眼が鋭く光った。
突然、旭が丘正門で起こった1人対15人のケンカは5分ほどで終わった。
しばらくして、騒ぎを聞きつけた真鍋勝弥が正門まで来ると、
そこには、すでに倒された他校の生徒たちが、うずくまり、痛みを訴える呻き声をあげていた。
「祐希だな…」
勝弥はその状況を見て、すぐさま、それを悟った。