イジワル同居人は御曹司!?
6. 思わぬ兄との接近
日も暮れてきた頃、部屋のドアがノックされる。

ドアが開いて、奏さんが部屋に入ってきた。

「夕飯の支度が出来た」

「え?」思わず聞き返してしまった。

奏さんって、料理出来るんだ。

「部屋で食べるか?それとも下で食べるか?」

お昼寝も充分して暇を持て余していたので、リビングで食べることにする。

「身体を起こせるか?」

「多分…超スローなら」

奏さんに手を借りて、ゆっくりゆっくり身体を起こしていくが、やっぱりビシリと腰に痛みが走った。

「はわっ!!」

私は思わず奏さんに齧り付く。

そのまま動くことが出来ずに静止する。

「紗英…苦しい」

奏さんは冷静に抗議する。

「ごめんなさい。でも直ぐには動けません…」

私はしがみついたまま言う。

「わかった。このままでいろ」

奏さんに腰を支えられながらゆっくり体を起こして行く。

またもや意図せぬ密着っぷりだが、この際どうでもいい。

只々腰に負担をかけないよう私は必死だ。

奏さんはそろりと腰に添えた手を離した。

私は上半身を起こしてホッと一息つく。
< 115 / 328 >

この作品をシェア

pagetop