イジワル同居人は御曹司!?
「か、奏さん！」

勇気を出して呼びかけてみる。

…しかし応答はなし。

ピカリと空が光って、地面が揺れるような雷鳴が轟いた。

私は「うぐっ！」と野太い悲鳴を上げて飛び上がる。

「おい！起きろ！エロメガネ！」

パニックのあまり暴言吐く。

窓際の黒いシルエットがごそりと動いた気がする。

起きた？！

私は物凄い猫背のまま摺り足という妖怪じみた動きで黒い物体の方へと移動する。

「奏さん！」

スマートフォンで顔を照らすと、メガネは爆睡していた。

しかもよく見ると耳栓をしている。

これか！

私は耳に指を突っ込んで耳栓を強制的に撤去する。

「奏さん！後生ですから起きてください！」

スマートフォンで顔面を照らすと眩しそうに眉根を寄せて、薄っすらと瞼をあげる。

「さ…え？」

「紗英です！だから起きてください」

「なに…してるんだ？」

目は開けたものの、虚ろでいつもの眼力はない。

「…夜這い？」

「んな訳あるかぁ！」

私は思わずズッコケそうになる。
< 121 / 328 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop