イジワル同居人は御曹司!?

誰かと一緒に眠るのなんてどれくらいぶりだろう。

直ぐには思い出せないほど、遥か昔だ。

こうゆう感覚忘れてたな。

私はクワッと大きく欠伸する。

願わくば、この温もりがメガネではなく愛しい人だったらどれほど幸せだろうか。

「やっぱ、彼氏作ろ」

ぼそりと独り言ちて、もぞもぞと布団の中に潜りこんで行く。

瞼を閉じ遠くで雷の音を聞きながら、緩々と眠りに落ちていった。



翌朝

顔に光が降り注ぐ眩しくて目がさめる。

寝返りをうとうとして腰に激痛が走る。

「はうわ！」

私は悲鳴を上げて一気に覚醒する。

そういえば昨日ぎっくり腰を患ったことを思い出す。

目だけでギョロリと辺りを見渡すと直ぐそこに奏さんの寝顔があった。

思わず悲鳴を上げそうになりなんとか持ち堪える。

そういえば、成り行きで一緒に寝たんだった。

ゆっくりと奏さんの方へと身体を向ける。

いつも眼鏡をかけているので気づかなかったけど睫毛が長い。

形の良い唇から微かに寝息が溢れる。

綺麗な寝顔。

ピクリとも動かず人形みたい。

近くにあったスマートフォンで思わず写真を撮ってみる。