イジワル同居人は御曹司!?
「失礼します」

発表が終わり私と桜井はペコリと一礼し、会議室を後にする。

無言のまま廊下を歩きエレベーターに乗り込んだ。

扉が閉まった瞬間私達は顔を見合わせた。

「やったな」

桜井が左手を上げたので私は勢いよくタッチする。

「早速EPIC社に見積とってよね!」

「しっかり値切っとく」

桜井は悪戯っぽくウィンクした。

部長会で私達は叱責された。

『なんでこんな状態でほったらかしにしとったんや!』と。

ちなみに我が部の部長は関西出身だ。

どうやら加藤課長が上手く根回ししてくれていて、だいたいの話は事前に伝わっていたみたい。

さすがに予算の事は結構細かいところまで突っ込まれたけど。

今回再構築に掛かる予算については、システムの資産となるため10年かけて原価償却出来ると桜井が説得してくれた。

そのおかげて部長陣の合意は概ね得られる事が出来た。

我が社のオンラインサイトを作り変えるんだ。私達が。

なんだろう、この高揚感。

仕事でこんなにわくわくしたのは初めてだ。
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