イジワル同居人は御曹司!?
「では4月のリニューアルオープン後に結果を改めて報告、その時には二次開発に関する計画案についても併せて報告すること。それが本件を承認する条件だ」

会長はテーブルの上に手を組んで毅然とした口調で言う。

「承知いたしました!」

桜井が元気よく返事をすると、うむ、と納得したように荻原会長は微笑んだ。

◆◇◆◇◆◇

「カンパーイ!」

居酒屋でグラスをぶつけ合う。

「いやーしかし、今日は上手くいったな!」

桜井はご機嫌でグビグビと美味しそうにビールを飲む。

「紗英、見事な発表だったわよ。見ていて涙が出そうになっちゃった」

歩は私の肩に手をおいて、母のような慈愛に満ちた目で私を見つめる。

経営会議の打ち上げ、と称して就業後に会社近くの居酒屋へ飲みに来ている。

メンバーは桜井と歩にゆうぽん、山下、私という不思議なメンツである。

「じゃあ、経営会議でも承認いただけたって事ですね」

山下はピーチウーロンとかいう乙女なカクテルを飲みながら尋ねる。

「いよいよプロジェクトが本格始動出来るぞ」

桜井が興奮して、山下の腕をべしべし叩くと、痛いですよぉ、と情けない声を出す。
< 153 / 328 >

この作品をシェア

pagetop