イジワル同居人は御曹司!?
「紗英、ご褒美は?」

「何の事ですか?」私は首を傾げる。

「今回、資料を作ったのも俺だし、発表のアドバイスをしたのも俺だ」

…まあ、それは否めない。

「しかも完全に勤務時間外となるため、それなりの報酬が発生する。しかも高いぞ?俺は」

「私だって勤務時間外労働だったんですからお互いさまじゃないですか」

寧ろあのしごきに耐えたご褒美をこっちが貰いたいくらいだ。

「お前の社内での評価は上がっただろ?それが何よりの報酬だ。寧ろお金では買えない。Pricelessだ」

奏さんは美しい発音で言う。

確かに、それは一理ある。

「一方俺は完全日陰の身に徹し、何の評価も得られない上にタダ働きだ。沙英くらい俺の働きを正当に評価してくれてもいいんじゃないか?」

本当に理屈くさい。

酔っ払っているので、言い返すのも億劫になってくる。

「解りましたよ。どうせまた身体で払えっていうんでしょう?何すればいいんですか?」

「解ればいい」

奏さんは満足そうにニッコリ笑う。

本能的に危険を察し後退ると、ソファーの背もたれに長い腕をスルリと伸ばして来た。

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