イジワル同居人は御曹司!?
どーゆー事よ?!

頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだ。

メガネは人知れずに婚約してたのだろうか?

確かに近頃、ちょいちょい無断で家を開ける事がある。帰りも遅いし。

それはあの人と会っていたから?

混乱状態で奏さんの部屋のドアを勢いよく開ける。

案の定、積み上げられた書籍とノートパソコンが置かれたデスクの前に座っている。

「おい!いきなり開けんなよ!」

目を三角にして怒っているけど、私は謝る気なんて更々ない。

「お客様です。女性の」

私がぶっきらぼうに言うと、奏さんは「は?」と言って眉根を寄せる。

「髪の長い儚げな美女です」

奏さんは思い当たる節があったのか、大きく目を見開き席を立つ。

慌てて部屋から出て行ったので私もその後を追う。

玄関のまで来ると、此方へくるりと振り向いた。

「何でついてきてんだよ」

ギラリと私を睨みつけて、来んな、と威嚇している。

「別にお鍋を火に掛けたままだったので、下の階へ戻って来ただけですけど?」

素知らぬ顔で私はキッチンに戻る。
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