イジワル同居人は御曹司!?
しかし、予想に反しメガネはものの数分もしないうちに帰って来た。

「おかえりなさい」

私は玄関まで出迎えに行く。

「ただいま」

奏さんの姿を見たら無償にホッとする。

本当に送りに行っただけみたい。よかった。

…牛すじカレーが無駄にならなくて、という意味でね。

しかし、奏さんは話しかけんなオーラ全開だ。

ここでズケズケ立ち入った事を聞いたら逆鱗に触れるのは目に見えている。

「夕飯出来たら呼びますね」

うむ、と言って奏さんは二階の自室へと戻っていった。


「今日は何カレーでしょうかぁ？」

私は無理にテンションを上げて尋ねる。

「…ビーフカレー」

奏さんはカレーを一口食べるて、ボソリと答える。

「ブッブー！ハズレー！牛すじカレーでしたー！」

「牛すじもビーフに含まれんだろ」…くらい、言い返してきそうなもんだけど、奏さんは無言のままカレーを食べ続ける。

どうしちゃったのかな。

私はカレーを食べながら奏さんへチラリと視線を向けて様子を伺う。

不機嫌、というよりも、心此処にあらず、って感じだ。
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