イジワル同居人は御曹司!?
「昔付き合ってた方ですか?」

私は控え目に聞いてみる。

「アメリカに行く前にな」

私の推理は正しかった事が証明される。

「それは良くないと思いますよ」

私は奏さんの目を真っ直ぐ見据えて言う。

「余計なお世話だ」

氷りつくほど冷ややかな視線を向けられた。

「だけど食事中に肘をつくのはお行儀悪いです」

ああ、と言って奏さんは肘をテーブルから離す。

やっぱり。

カマを掛けたらまんまと引っ掛かった。

優梨奈との関係を否定されたと思ったようだ。

ムキになって言い返す、って事は奏さんと優梨奈には後ろめたい事がある。

だからって、私はそれを咎める権利なんてないんだけどね。

ただの同居人だし。

…だったらなんでキスなんてするんだ、エロメガネ!!!

私はごはんとカレーを掻き集め口へ押し込む。

頬張り過ぎて私の両頬はリスみたいにパンパンに膨れている。

こうでもしないと余計な事が口から出てきてしまいそうになる。

「そんな腹が減ってたのか?」

その様子を見て奏さんはあきれ顔だ。

誰のせいだと思ってんのよ!馬鹿!エロメガネ!

私は無視してカレーを食べ続けたのだった。
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