イジワル同居人は御曹司!?
「品行方正な歩がそんな事する訳ないじゃん。不道徳なのは兄の方だよ」

思い出してもイライラする。

私は眉根をギュッとよせた。

「つまり…、藤田さんのライバルが登場した、って事すね」

「ライバルって別に」私はフンと鼻で笑う。

「流星レイジ」

ゆうぽんがボソリとインチキ占い師の名前を呟いた。

「やっぱり当たったじゃないっすか！占い！」

「いやあ、それはこじつけでしょー」

私は肩を竦めて苦笑いを浮かべる。

「藤田さん」と言ってゆうぽんは作業を止める。

「そもそも婚約中の女性なんて、彼との未来の生活しか頭にないじゃないっすか？ふつー昔の男なんかに会いにいきます？」

私はブンブンと首を横に振る。

女性は本来新しく好きな人が出来たら元彼なんて、生きていればいいかなー！くらいの存在になり下がる。

「優梨奈は羽瀬兄に未練があるんじゃないっすか？それこそ今の婚約者を捨ててもいいと思ってるくらい」

ちゃっかりゆうぽんまで優梨奈呼ばわりだ。

「優梨奈は恐らく本気です。ここで自分の気持ちに正直にならないと、羽瀬さんを盗られちゃいますよ？」

バッチリアイメイクが施されたなんちゃってデカ目でジッと私の目を見つめる。
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