イジワル同居人は御曹司!?
そのまま桜井はどっぷりとニンニクをラーメンに投入する。

「はい!藤田!」

元気よく言うけど、匂いが気になるので「大丈夫」と遠慮する。

「ええ!ラーメンにニンニク入れない派か?!」

「ニンニク好きだけど、匂いがちょっと気になる」

「なんだ?この後デートの予定でもあんのか?」

否定する代わりに、無言でニンニクを受け取るとラーメンにたっぷり入れた。

その様子を嬉しそうにニコニコしながら桜井は眺めている。

「スケジュール纏めてくれてありがとうな」

「ううん、私もちょっと自信がなかったから認識を一旦併せておいた方がいいかなと思ったんだ」

私は豚骨こってり系のラーメンをゴソリと箸ですくって食べる。

味が濃くて美味しいけど、胃もたれしそうだ。

そう思っちゃうところがもう若くはない。

「実は俺、最近藤田に嫉妬してるんだ」

ラーメンを食べながら桜井がボソリと呟く。

「どうゆう意味?」私は眉根を寄せる。

「今回のプロジェクトでは既存の改修案から、大幅な変更を伴う、けど画期的なシステム再構築を提案してさ」

「それは…」私が考えたことじゃないんだけどな。

途中まで言いかけて、ラーメンと一緒に言葉を飲み込む。
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