イジワル同居人は御曹司!?
おやすみ、と言って桜井は車に乗り込んだ。
マンションのエントランスの前で、タクシーが突き当たりを右折して見えなくなるまで、手を振った。
よし、行った。
私はくるりと踵を返して家に帰ろうとすると暗がりに人影ボウッと佇んでいた。
「ひい!」
私は飛び上がって悲鳴を上げた。
「紗英」
「へ?」
眉根を寄せて目を凝らす。
そこにいたのは私服姿の奏さんだった。手にはコンビニの袋をぶら下げている。
…げ、今日に限って早く帰って来たんだ。
「おいおいおい」
奏さんはツカツカと此方へ向かって歩いてくる。
「無断で夕飯作りをサボって同僚と遊び歩いてたとはな。いつからそんな不良になった?」
桜井といたのをしっかり見られていたようだ。
「奏さんには言われたくないですー」
私はすかさず言い返す。
これ以上余計なことは言われたくないので、蛇エキスでフラつきながらも私は家に向かって歩いていく。
「遅くなるなら連絡一本くらいするべきだろう?」
「奏さんには言われたくない」
私は同じ事を繰り返して言う。
「夕飯の用意があるかと思って待ってたんだけど。ごめん、の一言もない訳?」
マンションのエントランスの前で、タクシーが突き当たりを右折して見えなくなるまで、手を振った。
よし、行った。
私はくるりと踵を返して家に帰ろうとすると暗がりに人影ボウッと佇んでいた。
「ひい!」
私は飛び上がって悲鳴を上げた。
「紗英」
「へ?」
眉根を寄せて目を凝らす。
そこにいたのは私服姿の奏さんだった。手にはコンビニの袋をぶら下げている。
…げ、今日に限って早く帰って来たんだ。
「おいおいおい」
奏さんはツカツカと此方へ向かって歩いてくる。
「無断で夕飯作りをサボって同僚と遊び歩いてたとはな。いつからそんな不良になった?」
桜井といたのをしっかり見られていたようだ。
「奏さんには言われたくないですー」
私はすかさず言い返す。
これ以上余計なことは言われたくないので、蛇エキスでフラつきながらも私は家に向かって歩いていく。
「遅くなるなら連絡一本くらいするべきだろう?」
「奏さんには言われたくない」
私は同じ事を繰り返して言う。
「夕飯の用意があるかと思って待ってたんだけど。ごめん、の一言もない訳?」