イジワル同居人は御曹司!?
そして結局この様か…。

私はメガネにおぶさって、家まで運ばれる。

今日はパンツスタイルでよかった。

「この歳でおんぶってダサいですね」

「なんだ、また抱っこがよかったのか?」

そーゆー問題じゃない。

「…その、すいません」

さっきは強気に出たものの、この状況では謝るしかない。

「いいよ、別に」

「いや…でも、なんか結局また迷惑掛けて」

「俺も、悪かったから」

「は…?」

思わぬ台詞に思わず聞き返してしまった。

甘えていたのかもな、とボソッと呟く。

「反省しました?」

「うん、結構した」

よしよし、と言っていつもは届かない奏さんの茶色くてふんわりした髪をワサワサと撫でる。

「あの、沙英…」と言いかけて、奏さんはふと黙り込む。

「どうしました?」

「…お前さっきから、めちゃくちゃニンニク臭い」

ラーメンににんにくをブチ込んだのを今更ながら後悔するがもう遅い。

「それに、今日蛇が漬けられたお酒飲んだんですよ」

「だからあんなに凶暴だったのか」

奏さんがボソリと呟いたので、思わず声を上げて笑ってしまった。
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