イジワル同居人は御曹司!?
「最近うちの兄とは上手くいってるの？」

どストレートに聞かれて私は動揺しまくる。

まさか、貴方とそっくりなお兄さんに惚れてしまいました
なんて言えるわけがない。

「うーん、上手くいくもなにも会ってない」

優梨奈と会ってて最近帰ってこなくなった事を、私はパスタに添えてあったバケットをメチャクチャ細かく千切りながら一気に捲し立てる。

「お陰様で気楽なもんですわー」

何故か関西弁で言ってあははーと空笑いをする。

「ボチボチ紗英も物件探し始めた方がいいかもねー」

「どうゆうこと？」私は眉根を寄せて聞き返す。

「優梨奈さんって、メガネが付き合ってた時にうちに来た事があるのよ。目が大きくて痩せてる人よね？」

そうそう、と言って私はこっくり頷く。

「歩知ってるの？」

「以前、うちに挨拶に来たことがあるから」

家族に紹介するとなると、優梨奈と真剣な交際だったという事か。

「全然喋らなかったから大人しい人、くらいしか印象ないけどさ」

歩はクリームソースのパスタをパクリと食べる。

「兄が仕事でアメリカに行く事が決まった時に、着いて行くとか行かないとかで揉めたらしくて、そのまま別れちゃったみたい」

「へぇ、そうなんだ…」

二人にはそんな経緯があったとは。
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