イジワル同居人は御曹司!?
私は俯きながら、くるくるとアラビアータをフォークに巻き付けていく。

「そんな優梨奈と付き合ったって事になったら結婚まで秒読み間近でしょ」

歩はキラリと目を光らせる。

「それは、どーかなー…」私は言葉を濁す。

「兄が結婚するかもって早速母と祖父にも報告しないと」

「そそそそれは駄目だよ！」

思わず私は声を張り上げる。

周囲から非難の視線を向けられて、私達は縮こまった。

「紗英、リアクションデカすぎ」

歩は目を細め非難の視線を向けてくる。

「いや、だっていきなり報告するとか歩が言うから」

そんな事を報告された日には私がメガネにブッ殺される。

だって、優梨奈は他の男と婚約中だから。

「母も祖父も兄がなかなか結婚しないから、もの凄く心配してるのよ。祖父については男色の疑いまでし始めちゃって」

「それは絶対ないから大丈夫」

だって実証済だし。

歩には言えないけど。

「それじゃ、尚の事言わないほうがいいわよ。まだ確実じゃないのにぬか喜びをさせる訳にもいかないでしょ？」

そうかしらねぇ、と歩はあまり納得していない様子だ。
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