イジワル同居人は御曹司!?
「どうかしたか」

先ほどのイケメン花婿は優梨奈がジッと此方を見ているので、何事かと振り返る。

少し目を見開き「奇遇だな」と呟いて花嫁姿の優梨奈にニッコリと微笑み掛ける。

まるで気にするな、と言わんばかりに。

どうやら衣装が被って、優梨奈が動揺していると思ったらしい。

知らぬは仏とはまさにこの事。

当の奏さんの様子を恐る恐る伺う。

しかし、心配とは裏腹に眉ひとつ動かさない完璧なポーカーフェース。

私は握った手にギュッと力を込めた。

「如何でしょうかぁ?」

ドジなスタッフ大木が絶妙なタイミングでカットインしてきた。

ナイス、大木。

「着てみたら全然思ったのとちがかった。あんまりこうゆうデザイン好きじゃないから辞める」

「とても良くお似合いですが」大木は態度の急変した歩にオロオロと狼狽える。

「何か急に嫌になっちゃった」

歩はチラリと隣に視線を向けると、我儘お嬢様のような尊大な態度で言う。

また、其れがすっごく板についている。

イケメン花婿は肩を竦めると、しょんぼりしている優梨奈に「着替える?」と優しく尋ねる。

とっても優しそうでいい感じ。

それなのに浮気する優梨奈ってどうなんだ??
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