イジワル同居人は御曹司!?
あの人って、もしかしたら私の事だろうか。

っていうか、私しかいないじゃない。

心臓が早鐘のように脈打つ。

否定の言葉を待っていても奏さんは口を開かず再び黙り込む。

嘘でしょ…?何か言ってよ。

しかし、一向に奏さんが否定の言葉を口にする気配はない。

私がいたから家に帰って来たくなかったの?

そんな迷惑だったの?

ショッキングな事実にクラリと目眩がした。

確かに私はドジだし沢山迷惑をかけていた。

だけどちょっとくらいは奏さんの役に立ててるかな、なんて思っていた。

だけど、自惚れていたにもほどがある。

もう乗り込む気持ちなんて木っ端微塵に砕け散った。

恋していることに気づいた瞬間に即失恋って…

やっぱり私は呪われているのだろうか。

いや、それを呪いのせいにはしちゃいけない。

自分のせいだ。

これ以上二人の会話を聞く勇気なんて私には、ない。

ふらつく足取りで私はその場を後にした。
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