イジワル同居人は御曹司!?
「今日ですか?桜井さんとのデート」

定時近くにゆうぽんからさりげなく突っ込まれた。

「う、うん」

図星を突かれてポッと頬を赤く染める。

「今日は全身から女子としての気合いが漲ってますね」

そんな解りやすいって事か。

私はバツの悪さに苦笑いを浮かべた。


19:30

待ち合わせ時間ジャストにお店へ到着する。

会社から程良く離れた有楽町の路地裏に佇む一軒家のイタリアンレストランだった。

「桜井の名前で予約してあると思いますが」

「此方へどうぞ」店員さんが席まで案内してくれた。

大きな窓に囲まれた店内は外の景色が望めることが出来て、開放感がある。

テーブルとイスはダークウッドで揃えており、シックでお洒落な雰囲気だ。

私の胸に微かな期待が宿る。

「ごめんなさい、遅くなっちゃって」

先に到着していた桜井の向かいの席に腰を下ろした。

「大丈夫。俺も今来たところだから」

爽やかな笑顔に思わずくらりとしてしまう。

やっぱり、これはこれでアリだな。

「とても素敵なお店だね」

「蛇エキスの挽回をしないと」

桜井が鼻の頭に皺を寄せて言ったので思わず声を上げて笑ってしまう。
< 224 / 328 >

この作品をシェア

pagetop