イジワル同居人は御曹司!?
駆けつけ１杯目はグラスビールで乾杯する。

その後、桜井が適当に食事をオーダーしてくれた。

私の好きな生ハムを忘れていない所も抜かりない。

「そういえば、森が総務の受付嬢と今度食事に行くらしい」

「うそ？！この間飲み会に来てた若くて可愛い子達だよね？どっちの子？」

「髪の毛長い方」

「ええ！可愛い子の方じゃん！奇跡だねえ！クララが立ったのと同じくらい！」

言い過ぎ、と言って桜井はおかしそうに笑う。

桜井とは職場も同じで同期だから共通の話題が豊富だ。

気を使わなくても、話しが途切れる事がない。

まあ、桜井が話上手で聞上手ってのもあるんだけど。

いつもビクビクしながら話しかけた割にはイマイチ盛り上がらない奏さんとの会話とは大違いだ。

「はい、藤田」

桜井はフルボトルでオーダーした赤ワインを私のグラスに注いでくれる。

「ありがとう」

いいえ、と言って桜井はニコリと笑う。

また顔も私のタイプっていうね。

お酒もお料理も美味しくて、私はご機嫌でブルスケッタを摘んだ。

「おいしいー」

アルコールの力も借りてすっかりリラックスした私の頬はさっきから緩みっぱなしだ。

桜井もその様子を見てニコニコしている。
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