イジワル同居人は御曹司!?
「やっぱり思うのよ。女は自分を愛してくれる男と一緒になってこそ、幸せになれるんだなって」

優梨奈はフウ、物憂げな溜息をつく。

その横顔はやっぱり綺麗で、流石俺が惚れた女だけはあると思った。

「ねぇ、それは私に対する嫌味？お姉ちゃん」

可憐が角煮に箸を突き立てて、ジロリと鋭い視線を向ける。

「なんで嫌味なんだよー」

ヒモの彼氏がヘラヘラ笑う。

確かにそれは一理あるな、と思ってしまった。

「紗英ちゃんも奏と一緒になったら大変でしょうねぇ」

優梨奈はスッと目を細めて俺に非難の視線を向ける。

「どうしてだ？その理論で行けば紗英は確実に幸せになれるだろ」

優梨奈と可憐は顔を真っ赤にして俺をジッと見つめる。

「奏さんが惚気ると、とんでもない破壊力ですね」

可憐はホウ、と溜息をつく。

「今更ながらムカつくわ」

優梨奈は鼻の頭に皺を寄せた。


来月には優梨奈は新居に引っ越すそうだ。

いつも暖かくもてなしてくれたこの家とも今日でお別れだと思うと少し寂しくなる。

「うちの子になるか？」

膝の花子に話しかける。

花子は返事をするように「ミャア」と小さく鳴いた。
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