イジワル同居人は御曹司!?
12. 兄のいない場所
「だぁー!」

私は空っぽの中ジョッキグラスをテーブルにドカリと置いた。

「彼女が浮気して別れたってその歳じゃなんて事ないってば!」

隣に座った若い男の子の恋愛相談を聞いているうちに私はエキサイトしてきた。

「次行けばいいじゃん!次!どうせ周りの女の子達はみーんな独身ばっかでしょ?私の周りなんて既婚者ばっかだよ?ちょっといいと思ったらみーんな結婚してんだからぁ」

私の必死さに若い男の子がちょっと引き気味の笑顔を浮かべる。

「…藤田さんいい加減にしてください」

ゆうぽんは冷静に突っ込んできた。

今日はゆうぽん主催のコンパである。

気合を入れてバッチリ決めて来たものの、待ち合わせ場所はチェーン店の大衆居酒屋だった。

そして相手は皆20代というね。しかも前半。

一瞬干支が被るんじゃないかと指折り確認してしまったが、そこは一応大丈夫だった。

落ち着いているもののこうして見ると、ゆうぽんはやっぱり若い。

20代前半の男の子といても全く不自然じゃない。

「ゆうぽんも所詮そっち側の人間って事よね」

不自然な色をした何味だか解んない甘っとろしいサワーをグビっと煽る。
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