イジワル同居人は御曹司!?
「う、うーん…」

魘されて目が覚める。

ロングTシャツがベトリと肌に張り付く。背中まで汗をかいていた。

初秋に長袖と毛布は少し先走り過ぎたようだ。

「あっつ…」

私はロングTシャツを脱ぎ捨てタンクトップになる。

時計を見ると丑三つ時。

辺りはまだ真っ暗な闇に包まれている。

喉がカラカラだ…

気だるい身体を起こし、よろよろとした足取りでキッチン向かう。


冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのペットボトルを手に取る。

蓋を開けるとそのまま口付けて一気に飲み干した。

「おい」

突然声を掛けられて、水を吹き出し気管に入る。

私は背中を丸めて咳こんだ。

「な、なんですか、突然」

ケホケホしながら振り返ると、奏さんが暗闇にぬーん、と佇んでいた。

デカいくせに全く近づいてくる気配を感じさせなかった。

サムライか!と思わず心の中で毒づく。

「こんな遅い時間に何してるんですか」

キッチンの隣にあるリビングは灯りがついておらず、テーブルの上に置かれたノートパソコンが人口的な光を放っていた。

「仕事してた」

奏さんは無表情のままボソリと答える。

これが昼間見た精悍なコンサルタントと同一人物とは思えない。
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