イジワル同居人は御曹司!?
火災で身の回りの物は全て燃えた。
私は会社に出勤していたままの恰好で近所に住む同期、羽瀬歩(はせあゆむ)の家に一先ず身を寄せる。
「大丈夫?」
歩は心配そうに眉根を寄せる。
死んだ魚の目をした私にアイスコーヒーをそっと出してくれた。
「ありがとう」
虚ろな眼差しでアイスコーヒーを一口飲んで息をつく。それから一気に飲み干した。
水分をとると、自分は随分喉が渇いていたのだと気付いた。
それすらも感じなかったほどの放心状態にある。
「燃えたよ…真っ白に…燃え尽きた…真っ白な灰に…」
私が力なく呟くと「まさかのジョー?」と、すかさず歩が突っ込んだ。
言葉と一緒に喉の奥から熱いものが込みあげて来たが寸手のところで、私はグッと飲み込む。
荷物は出勤用バックに入っていた財布と携帯、手帳にハンカチ、化粧品ポーチ、社員証、名刺、街で配っていたポケットティッシュ。
以上!
それが今の私の全て。ああなんて身軽なんだ。
「まぁ、うちは広いからさ、落ち着くまでここにいなよ」
歩は慈悲深い笑みを浮かべる。
一瞬本当にお釈迦様かと思ってしまった。
現在歩は一戸建で一人暮らしをしている。
間取りは5LDKくらいはあるだろうか。確かに私独りが身を寄せたところで問題なさそうなくらい広い。
この一戸建ては春日町一帯の大地主である祖父に生前分与されたそうだ。
いかにも古い日本家屋の造りだが、それはそれで風情がありなかなか粋である。
今流行りの古民家ってやつだ。
私は会社に出勤していたままの恰好で近所に住む同期、羽瀬歩(はせあゆむ)の家に一先ず身を寄せる。
「大丈夫?」
歩は心配そうに眉根を寄せる。
死んだ魚の目をした私にアイスコーヒーをそっと出してくれた。
「ありがとう」
虚ろな眼差しでアイスコーヒーを一口飲んで息をつく。それから一気に飲み干した。
水分をとると、自分は随分喉が渇いていたのだと気付いた。
それすらも感じなかったほどの放心状態にある。
「燃えたよ…真っ白に…燃え尽きた…真っ白な灰に…」
私が力なく呟くと「まさかのジョー?」と、すかさず歩が突っ込んだ。
言葉と一緒に喉の奥から熱いものが込みあげて来たが寸手のところで、私はグッと飲み込む。
荷物は出勤用バックに入っていた財布と携帯、手帳にハンカチ、化粧品ポーチ、社員証、名刺、街で配っていたポケットティッシュ。
以上!
それが今の私の全て。ああなんて身軽なんだ。
「まぁ、うちは広いからさ、落ち着くまでここにいなよ」
歩は慈悲深い笑みを浮かべる。
一瞬本当にお釈迦様かと思ってしまった。
現在歩は一戸建で一人暮らしをしている。
間取りは5LDKくらいはあるだろうか。確かに私独りが身を寄せたところで問題なさそうなくらい広い。
この一戸建ては春日町一帯の大地主である祖父に生前分与されたそうだ。
いかにも古い日本家屋の造りだが、それはそれで風情がありなかなか粋である。
今流行りの古民家ってやつだ。