イジワル同居人は御曹司!?
「貯金は…シャネルのバックを買って使い果たしました。燃えちゃいましたけど」

私がへラリと笑みを浮かべると、奏さんは勢いよく壁に手をついた。

リ…リアル壁ドン…

しかし、そこには胸キュンやトキメキなんて全くなくて、あるのは恐怖のみ。

日本人女性の平均身長158cmの私を、180cmは有にあるデカイ奏さんが上から見下ろす。

「シャ・ネ・ルだぁ?」

「ご…ごめんなさい」

その突き刺さりそうな鋭い視線に私は縮み上がる。

「30にもなって、金もないし、行く場所もないってどういう事だ?」

奏さんは苛立だしげに眉間にギュッと皺を寄せる。

どうしよう、腹いせに首でも締められたら…

『美人OL惨殺!エリート同居人の実態に迫る!』

ふとスポーツ新聞の三面記事に掲載された小見出しを妄想してしまった。

「仕方ない。家賃が払えないのであれば身体で払ってください」

「え…」まさかの台詞に私は絶句する。

こ、この展開でまさかの色仕掛け?

タンクトップではだけた胸元を咄嗟に腕で隠した。

奏さんの綺麗な顔がゆっくり近づいてくる。

「あ、あの…」

突然の出来事に私の身体は金縛りにあったように動かなくなる。

そんな今更勿体ぶるようなものでもないんだけど、こ、心の準備が…!
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